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平成 8年 7月 31日 厚 生 省 血液凝固因子製剤による 非血友病HIV感染に関する 調査プロジェクトチーム ■1 調査の趣旨 (1)調査の目的 ・本調査は、厚生省として、非加熱血液凝固因子製剤による非血友病のHIV感染に 関する問題の重要性を踏まえ、平成7年度に行われた調査の方法を再検討して、製 剤の投与及び非血友病患者のHIV感染の実態把握の徹底を図るために実施した。 ・この調査の実施は、非加熱血液凝固因子製剤の使用実態の把握とHIV感染者の早 期発見を図り、発症予防及び治療、二次感染の防止に資するとともに、感染者の早 期救済につなげるものである。 (2)第2次報告の留意点 ・今回は、第IX因子製剤について、第1次報告以降7月25日までの医療機関からの 回答、追加報告と、第[因子製剤について、7月25日までに医療機関から届いた 回答を集計し、第2次報告として公表するものである。 ・医療機関の協力のもと、現在も保管されているカルテ等の資料に基づいて出来る限 りの実態把握を行っていただいており、現在も調査中の医療機関もある。このため 、最終的なまとめは、残りの調査結果の回答などが得られた時点で改めて行うこと とする。 (3)調査に当たって、医療機関、都道府県・指定都市、関係団体、関係省庁などの協力 をいただいたことに重ねて感謝する。 ■2 調査の方法 (1)調査対象施設の把握方法 調査対象施設は、以下のアからエの方法で把握あるいは報告のあったものとし、第1 次報告以降の追加報告などにより数については精査した。 ア.薬事法第69条第1項の報告命令に基づき、血液凝固因子製剤の製造・輸入販売 業者及び卸売一般販売業者が納入先として厚生省に報告を行った医療機関 ※加熱血液凝固因子製剤の納入先として報告された医療機関についても、非加熱血液 凝固因子製剤が納入された可能性があるものとして含めている。 イ.文献調査によって非血友病患者に血液凝固因子製剤を投与したと考えられた医療 機関のうち、ア以外のもの ウ.平成7年度に行われた「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」又は厚生 省による調査の対象となった医療機関のうちア及びイ以外のもの 工.自主的に報告してきた医療機関(ア、イ及びウ以外のもの) (単位:施設) 薬事法第69 文献調査 平成7年 医療機関 合 計 製剤の種類 条第1項の報 度調査 による自 告命令 主報告 第IX因子 製剤 1215 3 39 4 1271 第VIII因子 製剤 1815 1 − − 1816 ※第IX因子製剤と第VIII因子製剤の両方が納入された医療機関は、674施設である。 したがって、重複を除いた医療機関の総数は2413施設である。 ※第VIII因子製剤については、平成7年度の調査では対象としていない。 (2)調査対象の非加熱血液凝固因子製剤 ○第IX因子製剤 (4種類) 販売名 会社名 承認年月日 承認番号 クリスマシン (株)ミドリ十字 昭和51年12月27日 51E830 コーナイン カッタージャパン(株) 昭和53年 1月27日 53E輸63 (現:バイエル薬品(株)) ベノビール 日本臓器製薬(株) 昭和57年 1月28日 57E輸131 プログレックス* 住友化学工業(株) 昭和55年 5月15日 55E輸91 日本トラベノール(株) 昭和58年 5月23日 58E輸163 (現:バクスター(株)) * プロプレックスについては、製造工程中のエタノール処理によって、HIV感染の 可能性を否定することを示す資料が提出されているため、調査結果を集計する際には HIV感染の危険性がないものとして集計上取り扱うこととした。 ○ 第VIII因子製剤 (8種類) 販売名 会社名 承認年月日 承認番号 コンファクト8 (財)化学及血清療法研究所 昭和53年8月1日 53E917 コンコエイト (株)ミドリ十字 昭和53年8月1日 53E915 コーエイト カッタージャパン(株) 昭和53年8月1日 53E輸70 (現:バイエル薬品(株)) クリオブリン 日本臓器製薬(株) 昭和53年8月1日 53E輸69 プロフィレート (株)ミドリ十字 昭和53年8月1日 53E輸67 ヘモフィルS 住友化学工業(株) 昭和53年8月1日 53E輸68 日本トラベノール(株) 昭和57年7月27日 57E輸137 (現:バクスター(株)) ヘモフィルH 住友化学工業(株) 昭和55年3月4日 55E輸87 日本トラベノール(株) 昭和55年7月27日 57E輸136 ファイバ「イブノ」* 日本臓器製薬(株) 昭和58年5月27日 58E輸166 * ファイバ「イムノ」については、第VIII因子製剤ではないが、本調査では便宜的に第 VIII因子製剤に含めた。 (3)調査方法、期間及び進捗状況 1.把握した全医療機関による実態調査 調査票を都道府県・指定都市を通じて医療機関に直接配布した。配布に当たって は、都道府県等の担当者から調査の目的等趣旨を医療機関に説明し、調査票に回答 してもらう方法をとった。なお、調査票は、医療機関から直接厚生省に送付しても らった。 2.調査項目 ・非加熱の第IX因子製剤と第[因子製剤の受け入れ状況 ・薬剤管理記録の状況 ・カルテの保存の状況 ・患者への輸注の有無 ・HIV検査の実施の有無 ・輸注の有無の確認方法 ・輸注された患者の状況 等 3.使用の有無の確認方法 薬剤管理簿等で非加熱血液凝固因子製剤の輸注の有無を確認し、輸注患者につい てカルテを調査する。カルテによる確認ができない場合は、他の記録や医師からの 聞き取り調査等により確認する。 カルテ等で輸注の有無が確認できない場合の調査対象期間は、昭和53年を開始 年度、最後に非加熱血液凝固因子製剤が納入された時点より2年後を最終年として 確認する。 4.対象疾患 血液凝固系には、第T因子から第XIII因子そのほかの凝固因子があり、血友病と は、第VIII因子と第IX因子の活性が先天的に欠乏しているために、出血傾向を呈す る疾患であって、第VIII因子の欠乏によるものが血友病A、第IX因子の欠乏による ものが血友病Bである。 先天性凝固障害の約90%が血友病であるが、このほかにも第VIII因子、第IX因 子以外の凝固因子の先天的な異常があり、血友病類縁疾患と言われている。 本調査では、血友病類縁疾患の本態及び治療法の類似性を考慮して血友病と同様 の扱いとし、本集計の対象となる疾患から除外した。 なお、本調査において報告された血友病類縁疾患のHIV感染については、「H IV感染者発症予防・治療に関する研究班」(主任研究者:山田兼雄聖マリアンナ 医科大学名誉教授)に報告を行っている。 5.調査票の回答状況(7月25日現在) ・第IX因子製剤 調査対象1271施設中、1213施設から回答。 (回答率95.4%) ・第VIII因子製剤 調査対象1810施設中、1672施設から回答。 (回答率92.1%) (2)第IX因子製剤の投与患者の実態 1.性別患者数 3.原疾患別患者数 性別 人 原疾患 人 男性 1597 肝疾患 972 女性 831 消化器疾患 326 不明 17 新生児疾患 625 総計 2445 血液疾患 104 心疾患 175 2.投与時年齢別患者数 腎・泌尿器疾患 36 年齢階級人 産婦人科疾患 14 0歳 707 呼吸器疾患 16 1〜4 53 膠原病 13 5〜9 24 脳血管疾患 20 10〜19 43 外傷 17 20〜29 56 その他 72 30〜39 128 不明 55 40〜49 299 総計 2445 50〜59 496 60〜69 358 70〜79 192 80〜89 36 90歳以上 3 不明 50 総計 2445 4.投与時期別患者数 投与年 人 1978年(昭和53年) 106 1979(54) 119 1980(55) 250 1981(56) 324 1982(57) 412 1983(58) 400 1984(59) 330 1985(60) 324 1986(61) 113 1987(62) 27 1988(63) 6 不明 34 総計 2445 5.投与本数別患者数 6.投与製剤別患者数 本数 人 製剤名 人 1 770 クリスマシン 2233 2 374 コーナイン 162 3〜5 398 ベノビール 2 6〜10 332 不明 51 11〜50 306 総計 2445 51〜100 27 *複数薬剤の投与症例3名 101〜 9 (クリスマシン・コーナイン:2例、クリスマシン・ベノビール:1例) 不明 229 総計 2445 7.投与診療科別患者数 診療科名 人 内科 838 小児科 726 外科 719 その他 143 不明 19 総計 2445 8.都道府県・指定都市別患者数 HIV+ HIV- 死亡 生存 不明 総計 北海道 1 1 6 0 1 9 青森県 0 0 5 1 1 7 岩手県 0 1 1 0 0 2 宮城県 0 1 16 5 0 22 秋田県 0 2 8 0 0 10 山形県 0 1 5 1 0 7 福島県 0 13 97 1 13 124 茨城県 0 0 15 0 0 15 栃木県 0 0 1 0 0 1 群馬県 0 0 2 0 0 2 埼玉県 0 1 5 0 0 6 千葉県 0 3 2 0 0 5 東京都 0 8 111 34 21 174 神奈川県 1 0 17 0 5 23 新潟県 0 24 117 14 5 160 富山県 0 5 30 0 0 35 石川県 0 0 5 1 1 7 福井県 0 0 0 0 0 0 山梨県 0 0 0 0 0 0 長野県 0 0 1 0 0 1 岐阜県 0 0 11 0 0 11 静岡県 0 68 147 22 6 243 愛知県 0 1 19 0 3 23 三重県 0 0 3 0 0 3 滋賀県 0 0 1 0 1 2 京都府 0 0 0 0 0 0 大阪府 1 6 112 15 3 137 兵庫県 0 7 126 2 1 136 奈良県 0 1 2 0 0 3 和歌山県 0 0 4 1 3 8 鳥取県 0 1 3 0 0 4 島根県 0 1 3 0 0 4 岡山県 0 19 116 7 5 147 広島県 0 1 4 0 0 5 山口県 0 1 0 0 0 1 徳島県 0 1 15 0 0 16 香川県 0 2 20 2 0 24 愛媛県 0 4 15 2 0 21 高知県 0 0 10 0 1 11 福岡県 0 0 12 0 1 13 佐賀県 0 1 7 1 0 9 長崎県 0 11 61 0 1 73 熊本県 1 48 46 1 9 105 大分県 0 8 81 2 0 91 宮崎県 1 11 16 24 0 52 鹿児島県 0 0 0 0 1 1 沖縄県 0 2 6 0 0 8 札幌市 0 0 8 0 0 8 仙台市 0 1 59 4 2 66 千葉市 0 1 0 1 0 2 横浜市 1 5 30 0 0 36 川崎市 0 2 19 2 1 24 名古屋市 0 17 116 4 25 162 京都市 1 2 11 0 1 15 大阪市 0 4 88 3 4 99 神戸市 1 0 47 0 3 51 広島市 0 2 3 0 0 5 北九州市 0 5 48 3 0 56 福岡市 4 54 54 12 36 160 全国計 12 347 1767 165 154 2445* *2445例中22例は第[因子製剤の重複投与(HIV+:1例、死亡:21例) 9.HIV抗体検査の結果別患者数 HIV抗体検査結果 人 陰性 347 陽性 12 不明 2086 計 2445 *2445例中22例は第[因子製剤の重複投与(HIV+:1例、死亡:21例) 検査結果不明例の状況(再掲) 死亡 1767 生存 165 不明 154 生存・不明(再掲)319 小計 2086 生存・不明例の状況(再掲) 確認中 80 確認不能 75 検査拒否 5 その他 27 不明 132 小計 319 (4)第VIII因子製剤の投与患者の実態 1.性別患者数 性別 人 男性 131 女性 83 不明 4 総計 218 2.投与時年齢別患者数 年齢階級 人 0歳 30 1〜4 10 5〜9 12 10〜19 13 20〜29 17 30〜39 19 40〜49 30 50〜59 36 60〜69 17 70〜79 22 80〜89 5 不明 7 総計 218 3.原疾患別患者数 原疾患 人 肝疾患 29 消化器 23 新生児 20 血液疾患 32 心疾患 52 腎・泌尿器 3 産婦人科 4 呼吸器 1 膠原病 5 脳血管 4 外傷 1 その他 35 不明 9 総計 218 4.投与時期別患者数 投与年 人 1979年(昭和54年) 5 1980(55) 19 1981(56) 39 1982(57) 29 1983(58) 46 1984(59) 46 1985(60) 28 1986(61) 0 1987(62) 0 1988(63) 1 不明 5 総計 218 5.投与本数別患者数 本数 人 1 6 2 5 3〜5 6 6〜10 7 11〜50 17 51〜100 7 101〜 2 不明 168 総計 218 6.投与製剤別患者数 製剤名 人 コンファクト8 13 コンコエイト 138 コーエイト 8 クリオブリン 35 プロフィレート 5 ヘモフィルS 10 ヘモフィルH 1 ファイバ「イムノ」 2 不明 8 総計 218* *複数薬剤の投与症例2例 (コンファクト8・コンコエイト:1例、コンファクト8・プロフィレート:1例) 7.投与診療科別患者数 診療科名 人 内科 72 小児科 42 外科 90 その他 11 不明 3 総計 218 8.都道府県・指定都市別患者数 HIV+ HIV- 死亡 生存 不明 総計 北海道 0 0 1 0 1 2 青森県 0 0 2 0 2 4 岩手県 0 0 0 0 1 1 宮城県 0 0 0 0 0 0 秋田県 0 2 4 0 0 6 山形県 0 0 2 2 4 8 福島県 0 1 0 0 0 1 茨城県 0 0 2 0 1 3 栃木県 0 0 0 0 0 0 群馬県 0 1 2 0 0 3 埼玉県 0 1 0 0 0 1 千葉県 0 1 0 0 0 1 東京都 0 4 31 10 12 57 神奈川県 0 0 0 1 0 1 新潟県 0 0 4 0 0 4 富山県 0 0 1 0 0 1 石川県 0 0 0 0 14 14 福井県 0 0 0 0 0 0 山梨県 0 1 0 0 0 1 長野県 0 1 0 0 0 1 岐阜県 0 0 0 0 0 0 静岡県 0 0 4 0 0 4 愛知県 0 0 1 0 0 1 三重県 0 1 0 0 0 1 滋賀県 0 0 0 0 0 0 京都府 0 0 1 0 0 1 大阪府 0 0 3 0 0 3 兵庫県 0 1 2 0 0 3 奈良県 0 0 0 0 0 0 和歌山県 0 0 0 0 0 0 鳥取県 0 0 0 0 0 0 島根県 0 0 0 0 0 0 岡山県 0 0 5 0 0 5 広島県 0 0 0 0 0 0 山口県 0 3 1 0 0 4 徳島県 0 0 1 0 0 1 香川県 0 0 1 1 0 2 愛媛県 0 0 0 0 0 0 高知県 0 0 1 0 0 1 福岡県 0 1 0 1 0 2 佐賀県 0 0 4 0 0 4 長崎県 0 2 2 0 0 4 熊本県 0 0 0 0 0 0 大分県 0 0 0 0 0 0 宮崎県 0 0 0 1 0 1 鹿児島県 0 0 0 0 1 1 沖縄県 0 0 0 0 0 0 札幌市 0 1 8 0 0 9 仙台市 0 0 7 0 0 7 千葉市 0 0 0 0 0 0 横浜市 0 0 1 0 0 1 川崎市 0 0 1 0 0 1 名古屋市 0 0 3 1 0 4 京都市 0 2 1 0 0 3 大阪市 0 0 2 0 1 3 神戸市 1 1 32 0 2 36 広島市 0 0 2 0 0 2 北九州市 0 0 1 0 0 1 福岡市 0 0 4 0 0 4 全国計 1 24 137 17 39 218* *218例中22例は第\因子製剤の重複投与(HIV+:1例、死亡:21例) 9.HIV抗体検査の結果別患者数 HIV抗体検査結果 人 陰性 24 陽性 1 不明 193 計 218* *218例中22例は第\因子製剤の重複投与(HIV+:1例、死亡:21例) 検査結果不明例の状況(再掲) 死亡 137 生存 17 不明 39 生存・不明(再掲) 56 小計 193 生存・不明例の状況(再掲) 確認中 6 確認不能 0 検査拒否 0 その他 2 不明 48 小計 56 (5)HIV陽性例 性別 投与時年齢 投与製剤 投与時期 現在の状況 ○ 1 男 10歳未満 クリスマシン 84年2〜6月 エイズ患者 ○ 2 男 40歳代 〃 85年4〜5月 死亡 ○ 3 男 40歳代 〃 86年4月 死亡 ○ 4 女 新生児 〃 85年2月 死亡 ○ 5 男 10歳未満 〃 84年11月〜12月 エイズ患者 6 女 40歳代 〃 82年9月 死亡 7 女 30歳代 クリスマシン コンコエイト 85年6月 HIV感染者 8 男 50歳代 クリスマシン 85年7月〜10月 死亡 9 女 新生児 〃 85年10月 HIV感染者 10 女 10歳未満 〃 85年3月 HIV感染者 11 男 10歳代 〃 83年12月〜84年1月 死亡 12 女 30歳代 〃 84年10月〜11月 死亡 注1:上記以外にも第IX因子製剤によるHIV陽性例3例及び第VIII因子製剤 によるHIV陽性例2例が報告されたが、これらは先天性血液凝固因子 障害(いわゆる血友病類縁疾患)の患者であり、「HIV感染者発症予 防・治療に関する研究班」において把握しているため、集計上は血友病 扱いとし、非血友病症例から除外した。 注2:○印をつけた症例は、平成7年9月の都道府県を通じた調査で把握され ていた症例である。 注3:7の症例については、第IX因子製剤及び第VIII因子製剤の重複投与例 ■4 今後の対応 (1)調査のとりまとめ ・第IX因子製剤に関する調査については、医療機関からの回答がほぼ提出されたとこ ろであり、今後、追加報告などを随時受け、内容をさらに精査していくこととする。 ・また、第VIII因子製剤に関する調査については、調査中の医療機関から調査結果の 回答や追加報告を受け、内容をさらに精査していくこととする。 (2)残された課題への対応方法の検討 今回の調査は、医療機関に残された資料等をもとに最大限の確認努力を行ったもので あるが、すべてを確認できるというものではなく限界を有するものである。 特に、次 のような課題について対応を速やかに図る必要がある。 1.HIV抗体検査未実施者への対応 ・第IX因子製剤については、第1次報告において生存中または生死不明の患者の49 8名が医療機関による確認作業により294名になったところであるが、今回新たに 把握された者を加えてHIV抗体検査未実施の者が319名残っている。また、第VI II因子製剤については、生存中又は生死不明の患者が56名である。これらの者のH IV感染の有無をできる限り早く把握することは重要である。 2.廃院等調査不可能な施設への対応 ・すでに廃院しており、今回の調査そのものが実施できなかった医療機関や、カルテ 等の記録が保存年限を超えていることから廃棄されるなど投与状況を確認する術のな い医療機関があった。 3.転居先不明など確認困難な例への対応 ・各医療機関において投与が確認できた患者のうち、転居先不明などにより連絡が取 れない確認困難例もある。医療機関において追跡調査の努力が払われているが、必ず しもすべてを確認できるというものではない。 これらについては、各医療機関が引き続き受診勧奨を行うよう要請する、より幅広に 検査受診の呼びかけを行うことや医療機関名の公表による検査受診の促進、判明した陽 性例の輸注時期等に着目した重点的な追跡調査などできるかぎりの工夫を検討していく 必要がある。こうした残された課題への対応の検討の場として7月2日に公衆衛生審議 会伝染病予防部会のもとに調査小委員会が設けられ、同月26日に会合がもたれたとこ ろである。今後、具体的な課題の対処方法について速やかな検討を行っていただき、そ の結果をもとに適切に対応していきたいと考えている。 (参考資料) 1.平成7年5月 「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」による小児医療 施設における調査 (平成7年7月6日公表) 対象施設 1325施設 (全国の主な小児科医療施設) 回答数 824施設 非血友病患者への血液 凝固因子製剤の投与施設 37施設 投与患者 188名以上 HIV陽性例 3名 2.平成7年9月 厚生省による、血液製剤メーカーからの任意報告で把握された納 入先医療施設に対する都道府県を通じて行った調査 (平成8年4月3日公表) 対象施設 544施設 回答数 521施設 非血友病患者への血液 凝固因子製剤の投与施設 87施設 投与患者 376〜389名 HIV抗体検査受検者 61名 HIV陽性例 7名 (注1)1の調査によって把握されたHIV陽性例3名は、2の調査のHIV陽性例7 名に含まれている。 (注2)2の調査におけるHIV陽性例7名には、血友病類縁疾患2名が含まれている 。