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◎:外国の文献等
●:国内の文献等
▽:その他関連文献関連事項等
1.エイズウイルスの認識と対応
(1)血液製剤を介して伝播されるウイルスについて◎82年7月16日付 CDC週報(MMWR)
- 米国で血友病患者(3名)にカリニ肺炎発生の症例報告(回顧的にみて初の血友病患者の報告。当時は不明)
●82年7月20日 毎日新聞
- 「エイズの原因はウイルス説が有力。血友病患者の症例は血液製剤によるであろう。」(7月16日ワシントンポストを引用。)
◎82年7月30日付 米国血友病財団(NHF)ヘモフィリア・ニユーズノート
- 同月27日、米国厚生省(HHS)がワシントンで主催し、CDC、FDA、NIH、NHF、米国赤十字社等・と会議。”AIDS”という名称とすることを決める。
◎82年8月13日号 サイエンス
- エイズに関する当時の仮説として、(1)亜硝酸アミル及び類縁の血管拡張剤、(2)感染性微生物、(3)抗原刺激の反復説等を掲げ紹介。
◎82年9月24日付 CDC週報(MMWR)「エイズの現状について」
- 81.6.l〜82.9.15の問にCDCが報告を受け付けた症例数を報告。
- エイズの定義〜発生モニタリング用
「細胞性免疫欠損に進展することが中程度以上に(かなりの確度又はそれ以上に)予測できる病態で、この病態に対する抵抗力を低下させる既知の原因を何ら有していないものに発現するもの」
◎82年9月 日付 NHFヘモフィリア・ニユーズノート「エイズに関するQ&A」
- 現時点で血友病患者には稀な病気(2万人中4名)。
- 濃縮製剤とクリオとの間でエイズに関する危険性が異なるという裏付けなし。
- エイズへの不安のため濃縮製剤の使用を抑制することは適当でないこと。
◎82年11月5日付 CDC週報(MMWR)
- 「エイズ・臨床及び研究者に対する予防措置」
当面、医療関係者に、B型肝炎ウイルス患者に用いるのと同じ予防措置を講じることを勧告。
◎82年11・12月号 キャンサー・ジャーナル・フォー・クリニシャンズ
- 疫学的な観点から免疫抑制を行う単一疾病とした上で、CMV感染、亜硝酸塩吸入剤の使用、多数回の感染による免疫過負担、新種のウイルス等による感染等の仮説を報告
◎82年l2月3日及び4日:FDA血液製剤諮問委買会の公式議事録
- 赤血球輸血についての最新の知見の評価・検討並びに血漿分画製剤、特に血液凝固因子製剤の伝染性を減少させる計画についての検討が行われた。議論は、B型肝炎に焦点。 血液製剤とエイズとの関係についても論識し、次を捉案。
- エイズの危倹性を減少させるためのクリオの信頼性を高める
- より感染性の低い第VIII因子製剤及び第IX因子製剤の開発
- 潜在的なハイリスクドナーの排除
(但し、同委貝会は、この時点で、生物学的製剤に係る基準のいかなる変更も規制もしないとした。)◎82年12月10日付 CDC週報(MMWR)
- 血友病患者について、4名のエイズ患者とl名の疑似患者が発生。
- この疾病が血友病患者に重大な危険を提示する可能性を示唆。
- NHFとCDCがサーペイランスを実施していること、及びCDCへの報告を奨励
- 生後20か月の乳児に原因不明の細胞性免疫不全症及び日和見感染症が発生したことを報告。
- この症例は多数回の輸血後に発生、その中に、事後にエイズと判明した男性からの血小板輸血あり。
- 編集者解説で、「この乳児がエイズならばエイズの供血者からの血液製剤を投与されたのちに発症したことは感染症病原体説の妥当性を更に支持するもの」「しかし、エイズにば確定的臨床検査法がないので、この乳児の症例解釈は憤重に」
◎82年12月17日付 CDC週報(MMWR)
- 2才未満の乳児4名に原因不明のエイズ様症状が発生したことを報告。
2名はハイチ人、2名は母親が薬物乱用歴。◎82年12月21日付 NHFヘモフィリア・ニューズノート
- エイズが血液製剤を通じて伝播する可能性があること、及び患者と家族はこの潜在リスクを知っておくぺきこと。
- クリオや新鮮凍結血漿がエイズのリスクを滅少させるという確定的な証拠は一切ないこと。
- クリオの対象として、4歳児以下の新生児、血友病と新たに診断された症例、軽症例を挙げ、一方、従来、濃縮製剤の投与を受けている患者の治療を変更すぺきことを勧告するものではないことも表明。
◎83年1月13日付 New England Journal ofMedicine
- 血友病A患者の濃縮製剤グループと同クリオグループ間で免疫能力に差がみられること(レーダーマンら)。
- エイズの原因について不明であることを指摘。その上で、次をコメント(デスフォージス)。
- 現行のブログラムの放棄というラディカルな変化を必要とする証拠はないが、今考えてみるべきこと。
- クリオの使用がこの危険を最小限にするのであれば現行の家庭注射を見直すべきこと。
◎83年1月14日 NHF医科学詰問委貝会(MASAC)
「血友病患者のエイズの予防に関する勧告」を発表。
- 対血友病治療医
- クリオの対象として、4歳児以下の新生児、新しい患者で従来の濃縮製剤で治療されていない者、軽症例等を勧告。一方、濃縮製剤で治療してきている者について、使用継続を表明。
- 対濃縮製剤メーカー
- 供血者スクリーニング等の実施、濃縮製剤のウイルス不活化製法の開発努力、プール血漿の規模を小さくすることの実現可能性、供血スクリーニングを経ていない血漿の購入を回避すること等を勧告。
◎83年3月4日付 CDC週報(MMWR)
エイズの発生状況及び予防対策を勧告(CDC・FDA・NIH)
- 発生状況
- 81年6以降1200例以上が報告され、450名以上が死亡。
診断後1年以上経過の場合、致死率60%以上。
血友病患者は11名。
- 血友病症例について、血液製剤又は血液が原因のようにみえるとコメント。
- エイズ因子を伝播する潜在的能力のある者が現在知られているエイズ症例数よりかなり多い可能性を示唆していること。
- 数か月〜2年の「潜伏期聞」の存在及び今認識されている臨床的疾病以前に伝播していることが考えられること。
- エイズの危険性が増大している者の1つとして血友病患者を指摘。
- 予防対策の共同勧告(CDC‐FDA・NIH)
- 性的接触の回避。
- ハイリスクグループの供血を回避すること。
(AIDSの症候又はそれを疑わせる兆候がある者、AIDS患者の性的パートナー、複数のパートナーを持つ性的に活動的な同性愛及び両性愛男性、ハイチから米国への移民、現在又は過去の静注薬物濫用者、血友病患者並びにAIDSの危険が増大している者の性的パートナー)
- 血漿、血液のスクリーニング方法の評価の研究等。
◎83年3月21日 FDA
- トラペノール社の加熱第VIII因子製剤を承認。(当時の報道記事等で確認。)
◎83年3月24日 FDA
- 血漿採集施設に対し「血液提供者からのエイズ伝播のリスクを減少させるための勧告」
- ハイリスクグループの供血回避のための教育プログラムの策定。
- ハイリスクグループの供血者からの血漿についてユニット毎にラベリング等6項目。
●83年4月19日 毎日新聞
- 「血友病患者、子供にも少数発生」
◎83年5月11日付ヘモフィリア・ニューズノート
- 血友病患者のエイズ発症率は非常に低いこと。(2万人中12名)
- 治療医の処方どおり濃縮製剤の使用継続を勧告。
●83年5月16日 医学界新聞
- 「エイズ、血友病患者に多発。死亡率70%と高い。本症が血友病患者の死因第2位」
◎83年5月20日号 サイエンス
- ギャロが、エイズの原因についてHTLV又は類縁ウイルス仮説を提示。
- 仏モンタニエがエイズ患者から従来見なかったレトロウイルスを分離したことを報告。しかし、エイズの病因におけるこのウイルスの役割の決定が今後の課題である旨コメント。
◎83年5月24日
- HHSは、血液製剤の加熱処理について、B型肝炎に対すると同様、エイズからも血友病患者が守られればよいとコメント。
”We hope the process(new heat treatment)can provide hemophiliacs with some protection against AIDS as well as against such known viruses as those for hepatitis.”
●83年5月25日 朝日新聞
- 「仏が米国からの輪血用血液の輪入を禁止した」とのニューヨーク・タイムズの記事を掲載。(事実関係照会の公電を確認(誤報を確認したといわれる。))
(◎83年5月
FDAがトラベノール社以外の血液製剤メーカーに加熱製剤の製造指示を行ったかを確認。新聞等国内資料による。)
◎83年6月24日付 CDC週報(MMWR)
- 編集者解説
「エイズの原因は不明であるが、最も可能性が高そうなのは、密接な性的接触、汚染された注射針、又は、それほどではないが、感染因子を含む血液又は血液製剤の経皮的接種による因子の伝播である。」◎83年6月29日 ストックホルムで世界血友病連盟(WFH)年次総会開催
- 「現時点で、血友病の治療方法について変更の勧告をするには証拠不十分。現在の血友病治療は継続すべきである」との勧告を決議。
●83年7月12日 朝日新聞
- いわゆる帝京大症例の患者についての報道。
●83年7月17日 産経新聞
- 安部英氏「エイズの発症率は1/1000」
●83年7月18日
- 第2回エイズ研究班(新聞記事及び記者発表資料)
●83年7月19日 読売新聞
- 「2例ともシロ」
●83年7月20日 内外タイムス
- 「帝京大講師、患者Aについてエイズ以外に考えられない」
●83年7月22日発売 週刊ポスト
- 西岡エイズ研究班員「国産製剤への緊急全面転換を」
●83年7月28日 読売新聞
- シャリー・ファニン「死んだ幼児3人について生後すぐ受けた輪血でエイズに感染したことは95%確実」
●83年8月2日 毎日新聞
- 安部氏「・・・・いささか神経過敏・・・」
◎84年5月4日付 サイエンス
- NIHギャロ博士がエイズの原因ウイルスとしてHTLV-IIIを確認。
併せて実験室レベルの抗体検査法を開発。●84年5月15日発行 日本医師会雑誌
- 誌上座談会で、郡司課長が発言。
◎84年8月 リオデジャネイロで世界血友病連盟年次総会開催
- 「従来濃縮製剤を使用してきた者に対する治療法の変更について、十分な根拠なし」
●84年8月7日 毎日新聞
- 「日本初のエイズ患者<新潟男女2名、ウイルス確認>」
◎84年9月29日 国際ウイルス学会
- ギャロの確認したウイルスがエイズの原因であることを認知(確認できる資料)
◎84年10月26日付 CDC週報(MMWR)
- CDC、エイズウイルスについて、加熱処理による不活化効果があることを発表。
◎84年10月13日 ヘモフィリア・ニューズノート(?)
- 「NHFが血友病の治療に関し、解明されるべき点が残されているが、加熱製剤の使用に移行することを表明。」
▽昭和59年度厚生科学研究「輸血後感染症に関する研究」
●85年3月21日 朝日新聞
- 安部教授が、帝京大症例を含む患者2名がエイズであることを学会に発表すると報道。
●85年3月22日
- 第1回AIDS調査検討委員会、日本で初めてのエイズ患者認定。(新聞記事及び記者発表資料等)
◎85年3月 日 FDAがエイズ抗体検査キットを承認。
●85年5月30日
- 第2回AIDS調査検討委貝会、帝京大症例を含めた3名の血友病患者をエイズと認定。(新聞記事及び記者発表資料等)
◎85年5月
- FDAが血液製剤原料血漿等について抗体検査陰性を義務付け。(MMWR等の資料、新聞記事等)
◎85年8月
- 米国において非加熱第VIII因子製剤及び同第IX因子製剤の製造・販売及び輪出を自主的に中止(MMWR等の資料、新聞記事等)
(併せて、当局による加熱製剤開発の指示及び非加熱製剤の回収指示の有無及び関係資料)▽86年1月 日 わが国がエイズ抗体検査キットを承認。
▽85年 月 日
- 日本における原料血漿等についての抗体検査陰性の義務付け。(当時の資料、新聞記事等)
◎HIVの感染力、発症率に関するCDC等の見解に関する資料(MMWRなど)
◎エイズの診断基準の変遷に関する資料
(2)厚生省の対応▽82年7月〜86年8月までの間の血友病患者団体、医療関係者に対する情報提供に関する資料
- 情報提供の在り方に関する考え方及びこれに係わる資料
- それに基づく具体的な情報提供例と資料
▽83年6月行われた(社)日本血液製剤協会からの血液製剤の安全対策の状況に関するヒアリング関係資料(血液製剤協会の説明資料など)
●83年6月13日「AIDSの実態把握に関する研究班」を設置(資料は項目5で対応)
●83年7月7日 毎日新聞
- 厚生省元職員、血液製剤輸入禁止を訴える。
▽83年7月22日 スクリーニング証明書添付(対メーカー)の指示
●83年8月11日 内外タイムス
- 「7月18日のエイズ研究会の後は”対策トーンダウン”」
●83年9月22日 全国血友病友の会が提出した厚生大臣あて要望書。
●84年5月 「小児科」誌
- 山田兼雄氏「加熱製剤を使用した方がよい」
●84年9月20日 AIDS調査検討委員会設置(記者発表資料等)
(86年12月、エイズサーベイランス委貝会に改組。)
2.米国政府機関の勧告(CDC,FDA,NIH)
◎82年11月5付CDC週報(MMWR)[再掲]
- 「エイズ・臨床及び研究者に対する予防措置」
- 当面、医療関係者に、B型肝炎ウイルス患者に用いるのと同じ予防措置を講じることを勧告。
◎83年3月4日付CDC週報(MMWR)[再掲]
- CDC・FDA・NIHがエイズ予防対策を共同で勧告。
- 性的接触の回避。
- ハイリスクグループの供血を回遊。
- 血漿及び血液のスクリーニング方法の評価の研究等。
◎83年3月24日FDAが血漿採集施設に対し6項目を勧告。[再掲]
- 「血液提供者からのエイズ伝播のリスクを減少させるための勧告」
- ハイリスクグループの供血回避のための教育プログラムの策定。
- ハイリスクグループの供血者からの血漿についてユニット毎にラベリング等。
3.トラベノール社(現、バクスター社)の自主回収報告について
▽同社の自主回収報告書(83年6月頃)
▽例外許可関係資料
●トラベノール社小栗氏の陳述書
(ヘモフィルTが日本で承認されるまでの経緯)
▽自主回収報告を踏まえた措置に係る検討資料
4.トラベノール社と厚生省との交渉について
●トラベノール社小栗氏の陳述書[再掲]
(ヘモフィルTが日本で承認されるまでの経緯)
▽83年3月 米国トラベノール社が厚生省表敬訪間時に用いた説明資料
▽83年年夏頃 日本トラベノール社が厚生省に対する加熱製剤説明の際用いた資料
5.エイズ研究斑の議事録、配付資料等
▽エイズ研究班(AIDSの実態把握に関する研究班)に関する資料
▽血液製剤小委貝会に関する資料
▽診断基準小委員会に関する資料
6.緊急輸入について
▽関係課に資料の有無を含めて照会(厚生省)。
7.いわゆる帝京大学症例をめぐる議論について
◎エイズの診断基準の変遷に関する資料[再掲]
◎82年9月24日付CDC週報(MMWR)
「エイズの現状について」
- 81.6.1〜82.9.15の間にCDCが報告を受け付けた症例数を報告。
- エイズの定義〜発生モニタリング用〜
「細胞性免疫欠損に進展することが中程度以上に(かなりの確度又はそれ以上に)予測できる病態で、この病態に対する抵抗力を低下させる既知の原因を何ら有していないものに発現するもの」
▽83年7月18日 第2回エイズ研究斑が症例検討した際の診断基準に関する資料
▽同年8月29日 いわゆるスピラ会合で同博士が診断した際の基準に関する資料
8.加熱製剤の臨床試験について
◎83年3月21日付CDC週報(MMWR)
- FDA、トラベノール社の加熱製剤を承認。
●83年6月18日 読売新聞
- 安部氏「輸血血液を60度、10時間加熱したい」と発言。
▽83年11月の加熱製剤の審査方針
▽従前の審査方針(昭和55年ガイドライン)
▽加熱製剤の治験に関する審議会関係資料
▽83年11月の加熱製剤の審査方針についての説明会に関する資料
●85年6月 日 血友病友の会からの要望書
- 「安全な濃縮製剤の早期承認を」
▽加熱製剤の審査承認関係資料
●加熱製剤の申請時及び承認時の新聞記事及び記者発表資料
9.加熱製剤販売開始後の非加熱製剤の扱いについて
▽加熱製剤の供給状況及び非加熱製剤の回収状況に関する当時の資料
▽回収方法等に関する検討資料