株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ代表取締役社長 立川敬二様
要 望 書
件名 「ハーティ割引(ふれあい割引)利用者からの情報収集等の制限」
要望
- ハーティ割引(ふれあい割引)申し込み時の身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等手帳の「確認」は本人確認に最低限必要な氏名、生年月日、写真(手帳に貼付されている場合)のみをもって行うこと、またハーティ割引(ふれあい割引)利用者について身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等手帳の種別をはじめ、手帳番号、障害程度、等級、障害名、障害部位、写真、発行自治体名等の情報を収集、保管、利用することのないよう要望する
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等手帳の一部および全部の複写の禁止、また郵送による申し込みの場合は本人確認に最低限必要な項目に限定した複写物の提出を求め本人確認後は即刻破棄するよう要望する
- ハーティ割引(ふれあい割引)利用者についてこれまでに収集された身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等手帳の種別をはじめ、手帳番号、障害程度、等級、障害名、障害部位、写真、発行自治体名等の情報を即刻破棄するよう要望する
- ハーティ割引(ふれあい割引)申し込み者および利用者から今後確認、収集、保管、利用する情報についてはその具体的な項目を理由および方法とともにあげた文書を作成し、広く公開することを要望する
- 御社、ドコモショップおよびドコモ取扱店において上記4.の文書と異なる対応がされた等の問い合わせに対応できる苦情受付担当窓口の開示を要望する
趣旨
私どもライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)はHIV感染者・エイズ患者への社会的支援活動を行っている民間非営利団体です。
御社がハーティ割引(ふれあい割引)を開始されることは御社報道発表資料にある通り、障害を持つ当事者たちの行動範囲をより広げ、コミュニケーションをより豊かにしていく、たいへん有益なものだと考えます。当事者の方からは「先陣を切って割引サービスを始められるNTTドコモは素晴らしい」という声が私どもに届いています。一方、障害というもっとも慎重に扱われるべき情報がどのように扱われるかを危惧する声も届いています。
障害者のプライバシーの保護については各方面からその重要性が指摘されております。
「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成10年12月2日郵政省告示第570号)では「第2章 個人情報の取扱いに関する基本原則」において「電気通信事業者は、次の各号に掲げる個人情報を収集してはならない」とし「身体・精神障害」をあげています。
「個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラムの要求事項」(JIS Q 15001)では「4.4.2.3 特定の機微な個人情報の収集の禁止」において「次に示す内容を含む個人情報の収集、利用又は提供は行ってはならない」とし「身体・精神障害」をあげています。
厚生労働省は平成15年1月21日付の「全国厚生労働関係部局長会議資料」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/bukyoku/syougai/)において「HIV感染者に対する障害認定等におけるプライバシーの保護について」と項目をあげて「HIV感染者をはじめとする障害者のプライバシー保護等について十分留意されるよう」注意を呼びかけています。
愛知県では「プライバシーの保護に配慮した」新しい障害者手帳への切り替えをはじめています(平成15年5月22日付、愛知県健康福祉部障害福祉課障害・給付グループ在宅グループ「お知らせ」 http://www.pref.aichi.jp/shogai/a-5_topics/webpress_sintecyou001.html)。この「お知らせ」で「カバーの窓から見える情報は、氏名、障害程度等サービスの提供に必要なものとし、障害部位など他人に知られたくない情報を見られずに済むようにしました」とされている通り、障害者手帳にはサービス提供に必要がなく、かつ「人に知られたくない情報」が含まれています。さらに、愛知県の新しい「精神障害者保健福祉手帳」の「カバーの窓から見える情報」は「障害者手帳」「愛知県」の2つの文字だけであり、「精神障害者保健福祉手帳」であることすら明示されていません。これは手帳の種別さえも保護されるべきプライバシーであることを示しています。なお障害等級については等級によって受けられるサービスに格差があるためであり、等級によってサービスに格差のない御社のハーティ割引(ふれあい割引)においては不要な情報と考えられます。
障害という情報の取り扱いの如何によって、御社の「更なる社会参加の一助としてご利用いただけるよう」という趣旨が成し遂げられるかどうかが大きく変わってくるのではないでしょうか。障害を持つ当事者たちが安心して御社のサービスを受けられるよう「ハーティ割引(ふれあい割引)利用者からの情報収集等の制限」について上記5項目を要望いたします。
2003年8月30日
要望者 ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)
代表 清水茂徳[印]
〒100-8691 東京中央郵便局私書箱490号
(事務局[省略])
TEL:03-5685-9716 FAX:03-5685-9703
ホームページ: http://www.lap.jp/
|