HIV感染者およびエイズ患者へのサービス |
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鬼塚直樹
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ここサンフランシスコではHIV感染者および患者に、色々なサービスが提供されている。そのほとんどのサービスは非営利団体によって行なわれるもので、様々な形態を取っている。
連邦および地方政府にはこれらの団体の活動やその規模に沿って資金援助を行うことにより、サポートを提供している。
また民間からの資金援助も活発に繰り広げられており、以下に述べるサービスは、政府期間そして民間からの資金やそのほかの協力を得、それを取りまとめようとする団体との協力体制によってはじめて可能となってきたものである。■送迎サービス
病院と自宅間の送迎サービスで、電話による予約が必要。
車の運転はもちろんのことバスや電車などを使用する体力がない人のために提供されている。
また外出することによって色々なヴィールスにさらされることを避けるという考慮もなされている。■無料チケット
映画、コンサート、スポーツの試合などの無料チケット。
健康な人にとってはなんともないこのような活動が、嵩む医療費や、収入の激減に悩むエイズ患者にとっては非常に困難のことになるうる。
映画や、コンサートのプロモーターからの寄付や協賛を得てこのようなサービスが提供されている。
また同じ様な状況下におかれている人たちが一緒にこのような活動をすることにより、親睦を深めることができる。■身の回りの世話サービス
掃除、洗濯、買い物、料理、子供の世話、などエイズに苦しむ人達に替わって日常の諸々な事をやるサービス。
ボランティアによって行なわれているサービスで、一人のボランティアによる継続的なサービスが提供される場合が多く、ただ単に身の回りの世話をすることだけでなく、より親密なつながりとなるケースもある。■グループ活動サービス
色々なグループ活動への参加を奨励するサービス。
ホテルや公共施設を借りての大がかりなパーティー、ピクニック、バス旅行、少人数のパーティー、色々な講演会、博物館や公園、遊園地への訪問など盛りだくさんの内容を提供している。
入場料や、施設の使用料はできる限り寄付や協賛を得ることにより、経費削減を計りながら行われている。■イベント・ホットライン
イベント(催し物)の案内ホットライン。
どのような催し物が企画されており、その対象はかくかくしかじか、といったたぐいの情報を提供する24時間のホットラインサービス。
ここで得た情報をもとにしてそれぞれの団体に電話で問い合わせをし、もし興味があれば予約をとりつける、といったシステムになっている。■住宅施設サービス
HIV感染者および患者への住居を提供するサービス。
収入の激減によって、住居の確保ができない人たちのために提供されているサービスで、人種、文化背景、言語、年齢、家族構成などを考慮にいれて住宅の配分がされている。
また、症状が進んでおり、24時間の看護体制が必要な人たちにも特別の施設が用意されている。そのほかルームメイトやアパートの斡旋などのサービスも提供されている。
病院での療養と比較し、プライベートな空間や雰囲気を重視し、その中での病気療養を一番とするコンセプトの沿ったサービスである。「社会全体の責任」の自覚と純粋な願いに裏打ち
上に述べた以外にも多種多様なサービスが、色々の団体によって提供されている。
それらのサービスは、病人への憐憫や同情心をその基礎の置くものではなく、不幸にもエイズに罹った人たちが、人間としての誇りや尊厳を保持し、病気と戦うことのできる状況を提供する責任が、社会全体に課されているのではないかという自覚と、より楽しく充実した時間を過ごして欲しいとの純粋な願いに裏打ちされたものである。