オルタナティブ・セラピーのこと |
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よしえ
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2月5日の勉強会は下北沢女性センター「らぷらす」にて行われました。テーマは「オルタナティヴ・セラピー」です。正しい知識の啓発が叫ばれている中で、PWA(HIV感染者・患者)の役に立つ知識(発症予防のための知識、治療法や介護法など)についてはほとんど触れられることがありません。「PWAに役立つ知識と実践」の一つとしてこのテーマで勉強会を行うことになりました。■オルタナティヴ・サラピーって?
まず最初にオルタナティヴ・セラピーについての説明がありました。
オルタナティヴ・セラピーとは一言で言えば「西洋医学以外の治療」のこと。オルタナティヴとは「もう一つの」「別の」という意味です。例えば針、灸、マッサージなどの東洋医学もこれにはいります。身体だけでなく、心理面にも目を向けているところが特徴です。欧米ではオルタナティヴ・セラピーのニュースレターを発行したり、セラピーを積極的に行っているところもあり、かなり浸透しています。ただし、実際にPWAの方が行うときには医師に相談してから行った方がいいようです(その時の体調、免疫力や使用している薬、治療方法との関係を考えて)。
また、サポーティヴ・セラピーという言い方をされるときもあります。サポーティヴとは「補助する」「補助的な」という意味です。西洋医学と「それ以外の治療」をうまく組み合わせながら行っていくようです。一通りの説明が終わった後「実は、こうしたオルタナティヴ・セラピーは多くの人にとって身近なものだ」と清水さんが話されました。そこで「わが家のオルタナティヴ・セラピー」と題してブレーン・ストーミング(アイデア出し)をしました。たくさんの意見が出ました。その一部をご紹介します(わかりやすいように出たアイデアを分類してみました)。■わが家のオルタナティヴ・セラピー
[1]風邪をひいた時
- 梅湯
- 足浴・・・湯の中に、粗塩を入れて汗が出るまで足をつける。汗が出てきたら素早く着替えて寝る
- 卵酒
- 卵ブランデー
- 熱が出たときはミミズをとってきて、ドロを吐かせて袋にいれ、湯の中に入れた後、煎じて飲む
- 新鮮な空気を吸う
- 濡れたマスクをする
- 熱が出て、それがただの熱か、危険な熱かを判断するとき→三息四脈を見る
- やってみて失敗したこと→身体が弱っているとき、激しい運動など疲れることをしてはいけない
[2]便秘のとき
- アイスコーヒーをたくさん飲む
- リンゴをまるごと一つ食べる
- 牛乳または薄い塩水を朝一番に飲む
- 頭を上から、トントンたたく(軽く)
- トイレにゆっくりこもる
[3]その他の身体的症状
- 喘息、肝臓→灸
- 心臓→整法
- 打ち身→メリケン粉を酢で溶いて飲む
- 胃→よもぎをすって飲む(キャベツでもよい)
- 腹痛、頭痛→梅肉エキス
- 水虫、口内炎、アトピー→恥骨の上にあるツボを押す
- 化膿→上腕二等筋の下を押すと化膿しない
- 車酔い→ヘソに梅干しを貼ると酔わない
- 痔→足の親指の付け根、手のひらの親指の付け根の下を押す
- 吐いた時→じゃがいも、人参、長ねぎを水だけで煮て飲む
- 尿を出したいとき(利尿)→玄米を煎って、跳ねてきたら湯に入れて飲む
[4]疲れた時
- 風呂(身浴を半分まで湯に浸して本を読む。マッサージをする、手の指と足の指で握手する)
- お酒を飲んで寝る
- 栄養補給に細かく砕いた卵の殻をオブラートに包んで食べる
[5]落ち込んだ時
- 友人に会う
- ビデオ(ほのぼのとしているもの)を観ると気分回復・今までの幸せなことを思い浮かべる
- 宝箱を作り、落ち込んだときに開ける
- 話してホッとする友達と話をする(愚痴るのではなく何でもないことを話す)
[6]眠れない時
- 手を振る(スワイショウ)と自然に泣けてきて、眠れる
- 好きな歌手の唄を聴く
- 下着を着けず(締め付けず)に寝る
[7]その他
- 冷え性→塩をヘチマにつけて、塩もみをする。浴槽に炭酸を入れてはいる
- 野菜の煮汁を飲む(無農薬の大根がいいとか・・・)
- 生ジュース(例えば、セロリ、リンゴ、人参)
- 免疫→にがうり(沖縄では「ごうや」といい、油で炒めるなどして食べる)
- 動物になる(例えば、鶴、へびなど)
- 風呂上がりに、水を浴びる(冷たい水がキツい人は、きれいな川を思い浮かべながらやるといい)
- ひたすら寝る
- 甘える
- かわいい男の子に会う
- ストレス発散→泣く。ドライブ。おもいっきり贅沢する(毎日百貨店の食品売り場に通う、買物、食事など)
- 嫌いなことがあった時、その点だけを見つめる。どうしてそうなったのかを考えることで客観的に見えるようになる
- 人とうまくいかなくなったとき、無理に解決しようとするのではなく、上手く取り入れる、受け入れる
- 泳ぎに行く
- 手紙のネットワークを作る
- 自分の思ったことを書く
- HIV(エイズ・ウィルス)に手紙を書き、それに対して、自分がウィルスの気持ちになって返事を書く
- 破壊する(皿を割ると、片付けがかえってストレスとなるので、袋に入れて割るとよい
- 叩く(枕、クッションなど)
- 亭主に肩をもます
- 毛布を新しくする
- 大好きなタレントのポスターを見ると「頑張ろう」と思える
- 独り言を大きな声で、思いっきり言う
- ロウソクの火を暗い部屋で見る。お線香を点ける。死んだ人を思い出す
- 電話をしてて、腹が立ったときは、受話器を押さえてバカヤローと言う
- 「自分は落ち着いている」と、繰り返し言う(自立訓練法)。例えば頭痛の時は「落ち着いているー額が涼しいー落ち着いている」と言う。これを基本的には足、心臓、呼吸、頭を通して行う。その人によって、オリジナリティで
■オルタナティヴ・セラピーの実践
[1]オイルマッサージ
オイルを使ったマッサージ。滑る感じが気持ちいいという。オイルはボディ・ショップなどで売っていて、いろいろな香りのついたもの(松の香りのするものなど)もある。
最初、マッサージを受ける人は服を脱いで横になる(どこまで脱ぐかは個人の趣味です)。マッサージをする人は手にオイルを十分馴染ませる。そして背骨、肩甲骨、肋(あばら)骨に沿って塗る。滑らせる感じでマッサージするとよい。終了後はしばらくそのままにしておいてオイルを体に馴染ませるといい。[2]気功&瞑想
瞑想と「気」によって、体の循環を良くする。私が自らお願いして、体験させて頂きました。
次第に暖まってきて、てのひらから無数の糸が出ている感じがした。
その場では少し疲れた感じがしたが、しばらくすると身体が軽く感じた。[3]温熱療法・アイロン編
手芸用アイロンを軽く押しあてるもの(温度は「低」がいい)。前回のニュースレターにもあったように、とても気持ちがいいようです。
ちなみに普通のアイロンでもいいそうですが、重たくて手が疲れるようです。[4]指圧
参加者に、指圧の心得を持った方がいらしたため、講師として教えていただくことになりました。
詳細はまた、紙面でご紹介したいと思います。
■勉強会に参加して
勉強会はまず、ファーストネーム自己紹介(自分がいつも呼ばれている名前、または呼んでほしい名前、仮名での自己紹介。プライバシー保護のため)から始まり、初めての方を含めた13人で行われました。
今回「わが家のオルタナティヴ・セラピー」のブレーンストーミング(アイデア出し)では、参加者が日頃どのようにして自分の身に起きた問題を解決するかというのを知ることができたように思います。たくさん出たアイデアの中でも一番多かったのがストレス解消についてでした。それだけ精神的援助が必要とされていることを思い知らされました。
セラピーの実演では、参加者全員が真剣な眼差しで見ていました。指圧のときは、懸命にツボを探している姿も見られました。そんな中、私は気功&瞑想に興味を抱き、実際に行なわせて頂きました。嫌なテストのことも忘れ、ふんわかした気分になり、ぜひ家でも行っていきたいと思いました。
薬理学の言葉で「プラシーボ効果」というのがあります。例えば、眠れない人に対して、ただの砂糖水を「よく眠れる薬」といって渡したところ、それを信じて飲んだ人がよく眠れるというものです(プラシーボとはラテン語で「なぐさめる」の意)。私はこの「プラシーボ効果」はとても大切なものだと思います。というのは、心が身体に及ぼす力は計り知れないものがあると思っているからです(そんなのあたりまえと思う方もいるかと思いますが・・・)今回行なわれたセラピーでは心が治療に対して占めるウエイトの大きさ、自ら身体に働きかけることから来る不思議な力を体験を通して学ぶことができました。オルタナティヴ・セラピーは、科学的になぜ効くのかが説明できないからこそ、そこに未知なるブラシーボが加わり、効果がはっきされるのでは・・・と思いました。
今回は13人で行なわれましたが、もっとより多くの人がこのセラピーを体験してほしいと思いました。また、「こんな方法もあるよ」というのがありましたら是非教えて頂きたいと思いました。[よしえ]