勉強会報告 |
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よしえ
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1994年6月24日勉強会に行なわれた勉強会では実際に保健婦として訪問看護を行っている方に、事例を折り交ぜて「在宅看護」について話て頂きました。■利用できる福祉サービス
各自治体の窓口に相談すると、ケースワーカーがケースに適したサービスをアレンジしてくれます。
・サービスの種類
- ホームヘルパー 身体上または精神上問題があるため、日常生活を営むのに支障のある人がいる家庭に派遣される。だいたい週に3日で1日2時間程度。家事のできる主婦が主体。
- 入浴サービス 入浴者を用いる。1週間〜10日に1回利用できる。
- デイサービス 利用者の年齢に制限のある地域もある。介護者または家族が休息を取りたいときや冠婚葬祭で家を一時的に空ける時に、患者を一時的に預けることができる。
- ショートステイ 看護がないと日常生活が営めない人を短期間、デイサービスと同じ理由の場合に預けることができる。
- 訪問看護婦 看護を頻繁に要する人の所へ、患者の状態にもよるが、だいたい週に2回訪問する。
- その他 日常生活用具の貸与・給付など。
■在宅看護のポイント
在宅看護を望む場合に大切なことは「患者が自分の生活をどうしたいのか」「家族はどのように考えているのか」を状況に応じて確認することです。
・介護者がいるか
介護を要する患者の場合、本人が在宅を希望しても、介護者がいないと実祭の生活は困難。ただし、患者の日常生活行動がどの程度可能かにもよる。程度によってはサポートシステムを上手に利用することで在宅が可能な場合もある。患者の状態、介護者の有無を勘案して在宅の可能性を検討するべき。
・患者の希望を適宜確認する
患者に「本当に家庭にいたいか」を適宜確認をとることは必要かつ大切なこと。
- 患者の状態により、本人および家族の意志が変化する
- 家族の仕事や健康など家庭の事情で患者の環境が変化することもある。
- 本人は在宅を望んでも家人としては入院してくれた方が楽な場含もある。在宅看護には家人・介護者の葛藤も多く、本人と家族がうまく話し合えないこともある。
- 患者の状態によっては、思わぬ展開がある可能性も理解してもらったうえで、本人・家人の意向を確認する必要がある。例えば、家人がちょっと目を離したスキに呼吸が停止してしまうこともある。
・病院(医師)と連絡を取る
- 近所の医者(家庭医)とは薬の処方や往診を頼める関係を作っておく。
- 総合病院で緊急時の入院を依頼できる所を探しておく。総合病院でも往診してくれる所もあるので、あらかじめ確認しておく。
・ボランティアの活用(ボランティア=ボランティアセンターに登録している人)
- 話し相手ボランティア、薬を取ってきてくれるボランティア、送迎ボランティア、患者の家を住みやすく改造してくれる大工ボランティアなとがある。
- あって欲しいボランティア:庭の手入れをしてくれるボランティア(患者は体を動かせず、庭を眺めて楽しむ時間が長いため)、ゴミ出し・ストーブの灯油入れのボランティア
■事例から
この後、実際の訪問の事例を通して話して頂きました。その中から、私が印象の強かった点をあげていきたいと思います。
- 「その人(患者)やその家族の今までの人間関係というものがあり、それは病気になったからと言って、または誰かが関わることで変えられるものではない」という事。
→介護していく上でとても大切なこと。家庭内の人間関係は各家庭で違う。その中で、今ある状況をどうすれば向上できるかを考えなければならない。- 「本人の生きている証しは何か」という事。
→患者が今置かれている状況で何かができることが大切。失われた機能ではなく、持っている能力を見つめて、何かが出来たとき、一緒に喜び、褒める。- 介護者(家人)は24時間患者の側にいて、患者を理解し、適した介護ができる。しかし、それでも保健婦の訪問を心待ちにしている。
→保健婦は介護者の相談相手、精神的支えにもなっている。介護者もサポートを必要としている。また、患者の死去後も「癒し」を必要としている。■意見交換
出席者からも在宅看護について様々な意見が出され、活発な交換がありました。その中から幾つかを紹介します。
・患者が在宅を希望するかどうか言えない状況もあるのではないか。
家族の一人が病気になると家族全体の問題となるため、患者と家族の「在宅」に対する価値観がある程度一致していないと、在宅看護そのものが因難だし、患者が希望を口にできないこともある。患者・家人が無理に相手にあわせようとすると互いにストレスとなる。ケースによって「在宅=ベスト」とは限らないし、必ずしも皆が在宅を望んているとは限らない。サポートする側は、在宅看護によって患者本人の苦痛が軽減することを期待している。・ボランティアと患者の相性や両者の関わり方で問題が生じることはないか。
病気のためにボディ変化をきたした場合、1「変化した自分」からスタートできる人と、2自分を悲劇のヒーロー、ヒロインにし、残された機能を大切にできない人とがいる。2の場合、ボランティアが立場を忘れて巻き込まれてしまうことがある。また逆にボランティアでも自分の行為に美徳を感じて酔っている人もいる。・現在、医療側とボランティアの連絡は取れているのか。
コミュニケーションを取っていればもめるということはないので、連絡は必要。ただし、ボランティアや医療側で患者への思い込みが強すぎると、もめることがある。ボランティアにとって仲間がいると、自分の方向や関わり方を客観的に観察して正してもらうことができるので、一緒にケースを検討できる仲間は是非必要。