横浜エイズ塾参加報告 |
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高木俊祐
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平成六年一二月七日、横浜そごう9Fでは、横浜AIDS塾の第一講が始まっていた。8回の講義に一泊の合宿がスケジュールのAIDS塾は、主に横浜で活動するNGOを対象に、横浜市が主催している。僕は友人の小林君に資料を見せてもらって、参加することに決めた。理由は、もっとAIDSについて知りたいという欲求と、おもしろそうだと思ったからだ。それに、これは秘密だが、平岡正明に会いたいなあ、というミーハーもあった。平岡正明はAIDS塾の塾長なのである。毎回、会えるぜ。
僕は第一講の講師、小沢遼子へと目を戻した。TVで見るより美人だなあ、とバカな事を考える。何か集中できない。理由は彼女の話が理解できないからだ。彼女の話はというと、もっと平田豊さんは真面目に活動すべきであった、だ。彼女の言う真面目って? それに真面目じゃないとダメなの? 初心者の僕には、わからん。
講義の後、開塾式が行われ、百人近い塾生の自己紹介があった。色んな人達がいる。これから楽しくなりそうだ。ちなみに僕は、偶然にも平岡正明の真後ろに座って講義を聞いていた。ラッキー!会場を横浜YMCAのチャペルに移しての第二講。講師は西川りゅうじん。テーマはコンドーム。前回は静かな講義だったが今回は爆笑の連続。楽しく笑ってコンドーム。いいんじゃないの?
もう一つ前回と違うのは、講義の前にAIDS・ワンポイント・レッスンというのがあった事だ。これはAIDSについての基礎知識を得るためのもので、最後の講義まで続けられるそうだ。LAP代表清水さんの出番、第三講。テーマはエイズ・セクシャリティ学。これまたT-GAPのタカナシさんを交えての爆笑講義。でも多くの塾生が笑いながら大事なモノを発見したはずです。でも、二、三人はしかめっ面をしていたなあ(苦笑)。色んな人がいる事を実感。
ジャーナリストの大村朋子と作家のペン・セタリンの第四講。テーマはアジア。しかし僕は大遅刻をブッこき、講義の前半が聞けなかった。しかし大半の講義が水曜の午後6時半からというのは、ちょっとキツい感じがする。実際に塾生の数が第三講までに比べて激減している。何だかちょっと悲しい。
女性の家〃サーラ〃の大森雅子による第五講。テーマは売春。日本での外国人女性の悲惨な売春の実態を語ってくれた。しかし会場の雰囲気が、売春は悪だ、に支配されているのが気に入らない僕は、「売春は悪くない」とフリートークで発言した。ちょっと笑われた。
平岡塾長と講義後、その事で話した。塾長は、「しかし売春によって女性が大変な目にあっているのは事実だ」と言われた。それはそうなんだけどなあ…。第六講は、田中優子。テーマは性の想像力だけど、話の内容は、江戸時代を中心に、病と人間の関係。昔の人が結構、病と共存していた事を知り、僕はふ〜んと思った。現代も、AIDSと共存していかねば、と再確認。それにしても、さらに塾生の数が減っている。あんなに多くいた塾生の行方はいかに。
弁護士の清水勉を迎えた第七講。テーマは薬害エイズ。講義では、清水弁護士と東京HIV訴訟の原告のお父さんの二人が、熱っぽく薬害エイズを語った。二人とも、最初からボルテージは上がりっぱなしだ。また会場の雰囲気もいつもとは違う。非常に緊張した空気が張り詰めている。まあ、そりゃそうだ。固有名詞や激しい言葉が飛びかっているんだから、緊張しないはずがない。しかしそれ以上に塾生を緊張させているのが、薬害エイズを引き起こした国と医師の態度だ。許せん、と某漫画家がゴーマンをしたくなるのも分かる。
最後に、HIV訴訟の原告のお父さんの息子さんとお母さんが、塾生の前で挨拶をされた。息子さんは初めて不特定多数の人の前に出たそうです。ちょっと僕は目が潤んだ。衆議院議員の栗本慎一郎による第八講「エイズ式文化人類学」。第三講以来の爆笑講義が戻って来た。栗慎の話はおもろ過ぎる。まるで芸人さんのよう。お約束のように太陽黒点の話もした。
今回は、塾生の数は多かった。まあ最後の講義だというのもあるんだろうけど、やっぱり面白そうな講義を選んで参加していたのかなあ? そうは考えたくないが、多分そうだ。へんっ、第四、五、六、七講だって爆笑講義じゃなかったけど、面白かったんだぜ、ざまーみろ。講義の後に、修了式があった。全八回の講義に全部出た人には修了証書がもらえる。僕と一緒に通っていた小林君、大熊さんの三人はめでたく修了証書をもらえた。でも修了できた人は十数人だけ。かなり悲しい。でもまあ、修了すればエエもんでもないしな。
こうして僕のAIDS塾は終わった。本当は二日間の合宿があるのだが、僕は都合でいけなかった。(小林君と大熊さんは参加した。楽しかったそうです)
AIDS塾で得たものは大きかった気がする。気がするだけなのは、得たものを使用していないからだと思う。得たものを使用したとき、本当にAIDS塾に通ってよかったと感じるんだと思う。
最後にもう一つ。また平岡正明に会いたいぜ。