入院患者Aさんの一日 |
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朝が早く、消灯も早い病院での生活。急性の症状が治まり体調がよくなってくると暇でしかたがない。友人や看護婦さんを捕まえて世間話に花を咲かせる。
でもどうして病院にはゲームセンターができないんだろう。
■「検温ですよ」で始まるAさんの朝
病院の朝は早い。「検温ですよ」という看護婦の不必要なほど明るい声で朝6時過ぎには起こされる。どうせ病人なんだからこんなに早く起こしてどうするつもりだと思いながら、熱を測り、脈拍をとってもらい、今の気分や体調、便通などを報告。
看護婦が去っていくとトイレに行く。尿を貯めておくように指示されることもあるけど、朝のトイレではたいていボーっとしているので忘れがちだ。帰ってくるとまた眠ってしまう。
とはいえ、朝食だけはきちんと食べておきたい。別にそんなにおいしいわけではないけれども、なにしろ入院費用にきちんと含まれているのだから食事は残してはいけない。たとえそれがパンとマーガリンとママレード、コールスローサラダとヨーグルトという地味なメニューでもだ。入院して健康を快復するための大きな心掛けは、どんなにまずい飯でも全部食べることだろう。これは大切だ。
さて、朝食が終わっても8時前だからやることに困ってしまう。体調がある程度いいのに昼間寝すぎると夜眠れなくなるので無理して起きている。
いつもは見ない連続テレビ小説や朝のワイドショーをきっちり見て主婦の仲間入りをする。小型のテレビは入院グッズの必需品だ。それに飽きたら少ない洗濯物を洗濯機に入れたりするのがお勧めコース。10時ころには2回目の検温。
■看護婦さんに悩み相談
入院病院の午前中もしくは午後の早い時間は、医師の診断や血液検査、点滴の開始などのイベントが目白押しのこともある。こういう時には、特に体調のよいときなどは時間が潰せて助かる。忙しそうにしている医師や看護婦、レントゲン技師を捕まえて世間話に花を咲かせることだってできる。悩みを相談すれば看護婦によってはひざまづいて相手してくれることもある。
■歩けるときは積極的に病院内を出歩く
体調が悪くて点滴なんかにつながれているときには、ちょっと自由が利かなくて面倒だけれども、そのかわり看護婦や友人、同室の人なんかの面倒見がよくなって便利だ。つながれていても、歩けるときには歩くようにしたほうがいい。そのほうがきっと足とか弱らなくていいと思う。
この間入院したときなんて、ふくらはぎが思いっきり細くなってしまった。これで病院内を全く歩いていなかったらもっと細くなっていたはずで、考えただけでもぞっとしてしまう。病院内の売店なんかには積極的に行ったりした。
12時の昼飯の後、午後はドラマの再放送とアニメを見ているうちに3時の検温、そして6時になり夕飯になる。
食べ終わると、主治医が様子を見に来てくれたりする。7時過ぎにまた検温。そして9時半の消灯までは、友達に電話をしたりして過ごす。
■薬の間違いは各自「要チェック」
治療のための飲み薬があるときには、各食事の前などに持ってきてくれる。これが、よく間違って持って来る。要チェックだ。間違いも患者にも飲み薬だからわかるものの、点滴の中の薬は大丈夫だろうか、と心配になることもしばしば。
消灯が早すぎて大河ドラマくらいしか人気のドラマが見られないのは仕方がなく、ベッドで横になる。熱のある日などは解熱剤を飲んだりするから、汗をひどくかいたりしてすぐには眠れない。看護婦には遠慮をせずに、背中を熱いタオルでふいてもらったりする。これは本当に気持ちがいい。熱が下がっているすきに眠るように心掛ける。
■体調によって異なる「過し方」
体調によって病院での過ごし方はかなり異なると思う。痛いときや気分の悪いときなど、ましてや呼吸困難を起こしている時など、暇だなんて考えることは全くない。でも、そんな急性の症状が治まってしまえば、概してどうやって暇を潰そうかと考え続ける日々が続いていく。だから、友人とかに迷惑でない程度に来てもらって話して過ごすのもよかった。
■アミューズメント施設がたくさんあれば…
入院するたびに思うけれども、病院にはどうしてゲームセンターができないのだろうか。どうして映画館やパチンコ屋はないのだろうか。病院があまり居心地のいいものになってしまうと、患者が退院したがらなくなるから問題なのだろうか。
でも、こういうアミューズメント施設をたくさん作ったほうが患者にとっても時間をより充実したものとして活用できるのではないかと思う。