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介護研修のご報告

ふじもと 

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- 11月5日(日)、LAP主催の介護研修が行われました。
 内容はPHA(HIV感染者・エイズ患者)のサポート・ケア、特に在宅介護支援に必要とされる実践的な介護技術の修得ということでしたが、介護だけでなく、普段の生活にもたいへん役立つものばかりなのでご報告させていただきます。
 今回の研修では看護婦の方から、移動の際に役立つ「ボディ・メカニクス」や具体的な技術、発熱時の介護等について教えていただきました。

最初に心掛けること

 介護をする上で心掛けなければいけないことは『安楽であること』、『安全であること』です。

  1. 相手(患者)
     まず第一に考えなくてはならないことは、相手(患者)のことです。出来るだけ快適に過ごせるように希望・要望を聞きコミュニケーションをとりながら行うとスムーズに介護がすすみやすく、安心にもつながります。
     また、ベッドからの落下や、移動時のけがなどを回避するために安全の確保も怠ってはなりません。
  2. 自分
     力の抜けた患者をベッドから移動させたり寝返りをうたせたりするのには想像以上の力が必要で身体にかなりの負担がかかり腰痛などの原因になります。動かすにはちょとしたコツがあるので(そのことは後で説明します)力だけで動かそうとしない。
  3. 周囲
     家族や周りの環境にも安楽、安全でなければならない。

ボディ・メカニクス

 力の抜けた患者をいかに楽に動かすかという点で、ボディ・メカニクス[注1]というものがたいへん重要になってきます。

  1. 手を使って物を移動させる時は押し出すより手前に引き寄せる筋肉の方が発達しているので手前に引き寄せた方が楽である。また上下の移動の時は腕の筋肉だけではなく足の屈伸運動のように腿の筋肉も使うと腰への負担も少なく楽である。
  2. 腰の位置を低くして安定を良くする
  3. 支える面積を広くする(足を開いて安定した姿勢で)
  4. 移動する物と自分との距離を出来るだけ短くする(自分が近づく)

 こうした「原則」を踏まえた上で座位(ざい=座った状態、ベッドで上半身を起こしている状態)、臥位(がい=寝た状態)の患者を移動する実習を行いました(イラストを参照)。
 この実習でわかったことは介護側が最小限の負担で移動させられれば、患者側の方も移動の際の負担が少ないことです。

[注1]ボディ・メカニクス

  1. 大きな筋肉を利用する
  2. 重心を低くする
  3. 基底面積を広くとる
  4. 物を自分に近づける
  5. 動かすものをコンパクトに
  6. てこの原理
  7. 周囲の環境を整備

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工夫して楽な状態を

 臥位の患者は筋肉が衰えたり、床擦(とこずれ)をおこしたりなどけっこう疲れるものなので、枕や毛布を使って臥位でも出来るだけ楽な状態でいられるように工夫をします。特に決まったやり方というのはなくて、患者さんにあわせて工夫していきます。いろいろなバリエーションがあります(図を参照)。

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 床擦のほかに尖足(せんそく)といって、くるぶしの筋肉が延びた状態で固まってしまうことがあるので、くるぶしを曲げて元の状態に戻し枕などでささえることも忘れてはいけません。
 HIVに感染後、病状が進むにつれて起こり得る症状として、

 ・発熱
 ・下痢
 ・疲労感、倦怠感
 ・食欲不振
 ・頭痛
 ・嘔気(はきけ)
 ・不眠

などがあります。これらはHIVに感染していなくても起こり得る症状なので、今回は発熱にしぼって、発熱したときに何がして欲しいかみんなで意見を出しあいました。

 ・冷やして欲しい
 ・身体を暖めて欲しい
 ・発汗したら新しい物に変えて欲しい
 ・水分が欲しい
 ・寝かせておいて
 ・おいしいものが食べたい
 ・楽な体位
 ・やさしくして欲しい
 ・ねたままテレビが見たい
 ・うがいがしたい
 ・関節マッサージ

などがあげられ、中にはかなりわがままなものもあるように思われますが、病気のときは誰でも気弱になるものなのでみなさんも同じなのではないでしょうか?
 はじめにでたふたつの『冷やして欲しい』、『暖めて欲しい』は矛盾しているようですが、発熱の場合、熱が上がるまでは寒気がして暖めて欲しくなり、上がりきってしまうと熱くなって冷やして欲しくなるのです。
 また、暖めると冷やすの注意点として、暖める場合は、あんかや湯たんぽによるやけどや暖房などによる乾燥に気をつけなければなりません。冷やす場合はふとい血管が通っているところを冷やします。例えば首のつけね、わきの下、腿のつけねなどです。肩は決して冷してはいけません。

パジャマの着替え方

 おまけのワンポイントレッスンとして寝ているひとのパジャマの着せかた、脱がせかたがありました。
 Tシャツタイプや伸縮性のあるパジャマの場合は簡単にできるのですが、フロントボタンタイプのものはけっこうむずかしいのです。

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 以上が今回の介護研修で行われた内容です。
 介護研修なんていうと専門用語が飛び交って聞いてもわからないとか、介護には興味がないなんていう人もいると思いますが今回の内容をみてもわかるようにけっこう普段の生活に役立つものばかりです。楽な体位の実習のときなんかは我先にやりたがって遊び感覚のところ大だし、雑談の中から知り得ることも多いのです(実はそっちの方が多い気がするけど)。
 次回、介護研修が行われるときはぜひあそびにきてください。興味のある方はLAPまでご連絡下さい。
 また、もしよかったらここで紹介された内容を家族やパートナーと試してみてください。
 特に臥位を楽に保つのに枕を使うのは本当に快適ですよ。枕がそんなに数がないという人は毛布を細長く丸めて代用できます。

[ふじもと]


介護研修に参加して    穂中英美梨

- 11月5日の介護研修に参加しました。
 相手や自分そして周囲が安楽・安全であることが大切で、相手の立場になって考えて行動すること、その際自分もなるだけ楽に動けるようボディ・メカニクスの考えを生かして動くことを学びました。
 ひきよせる、手足の下に枕を置く、臥位から坐位にする、パジャマの着替え等の実習をしました。大人にさわるのはホームヘルパー3級の実習以来で、なんて重たくてたいへんなんだろうと思いました。それだけに知恵と工夫と思いやりがなければ自分のからだがダメになってしまう、と思いました。
 「力ずく」ではなく、相手を人としてみてその人の声をききながら、こちらもリラックスして動いていきたいと思いました。
 いろんな知識や技術を学ぶことは自分の世界を広げていくことであり、無意味なことであるようなことに意味があり、自分には関係のないようなことでも関係があり、今は役に立たないと思ってもいつかきっと役に立ち、少し違う形で役に立ったりするんだと思い、これからもいろんなことを勉強して豊かに生きていきたいと思いました。


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