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図書紹介
『エイズ いま、何を、どう伝えるか』

阿部努 

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エイズ いま、何を、どう伝えるか
『エイズ いま、何を、どう伝えるか』(岩室紳也著、大修館書店、1996年、1,200円)※コンドームのつけかた等、セーフェストセックスについても詳しく解説
『LOVE・ラブ・えっち 知っているようで知らない安全な“Hのこと”オシエマス Q&A』(早乙女智子・岩室紳也著、保健同人社、2001年、1,000円)
『まちがいだらけの包茎知識(寺子屋ブックス19)』(飛波玄馬・岩室紳也・山本直英著、青弓社、2000年、1,600円)

『エイズ いま、何を、どう伝えるか』
岩室紳也著/大修館書店館 1236円

 医師というより、「頼りになる、気の置けない兄貴」といったスタンスで書かれている、岩室氏の『エイズ本』です。
 今までの『エイズ本』といえば、「内容はあるけれど難しい」「読みやすいけれど内容がない」「現実的でなく、押しつけがましい」等、何かしらの欠点のあるものが多いのですが、岩室氏のこの著は、「面白く、読みやすく、基本的な重要点はきちんとおさえていて、実際的でもある」というものになっています。
 エイズ入門書としてもすばらしい本ですが、一通りエイズを勉強した方にも、エイズを違った方向からもう一度見直すヒントを与えてくれる一冊です。
 特にSEXに関しての記述は大変実際的で、コンドームの着け方の説明などは、コンドーム使用歴十数年のベテラン選手の方々にも読んでいただきたい内容となっています。
 また、いままでの『エイズ本』には、高校生のSEXに関してはあまり踏み込んで書かれているものはありませんでしたが、岩室氏のこの著は、「ある高校生にとってはSEXは日常的なもの」というスタンスで書かれています。岩室氏は高校生がSEXをする事に対して、必ずしも肯定的ではないようですが、SEXをしてしまう以上は、エイズを含んだ性病および妊娠に対しては、正しい知識を持って欲しいという強い思いをお持ちのようです。それらの説明は、上で挙げたコンドームの着け方をはじめ大変プラクティカルかつわかりやすいものになっています。
 所々に掲載されている高校生らの数行の感想文も、良い味を醸し出しています。
 おすすめの一冊です。

[阿部努]

[目次より]

 はじめに
−エイズを正しく理解していますか?
  1. AIDSってどんな病気? HIVって何?
  2. AIDSの発症を遅らせる方法
  3. HIV抗体検査
  4. 感染経路再点検
  5. 母子感染
  6. 血液感染
  7. セックスによる感染
  8. コンドーム
  9. 若者の性行動の実態
  10. 薬害エイズ
  11. 自己責任、自己選択
  12. 偏見、差別、人種
  13. 私たちも行動を
  14. どのように伝えるか

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