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グループ紹介『翻訳プロジェクト』

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- ネット(パソコン通信ネットワーク)に集う人々が、共同で作業を進めていくこと。ある人の呼びかけをきっかけに集っている人で、何か作業をしようと決心しあい、ルールを作って、役割分担をして作業を積み重ねていく。集まってくるのは、どんな人でしょう。ネットをきっかけに知り合う人もいれば、ずっと参加していても顔や声などを全く知ることもなく過ぎていく人もいます。よく発言(文章をアップすることですね)する人もいれば、たまにしか寄らない人もいます。集まってくる人のバックグラウンドは、似たような傾向にあるのかもしれないが、しばらく付き合っていると、決して自分と似たような人ではなく、実際のところ、考え方や感じ方に、かなりの差があることを実感させられたりもします。多少のトラブルはつきものと言ってよいかもしれません。もちろん、それだけではありません。考え方がぶつかりあって、違いが浮き彫りになるだけではなく、うまい具合に整理されることもあります。(でも、こういったことってパソコン通信の世界だけではないのでしょうが…)お互いに調べたことを報告しあったり、立場の違う人からの意見に教えられることも少なくありません。新しくて斬新すぎる情報に触れて視界がまぶしくなることもあります。でも、生真面目な雰囲気ばかりが満ちあふれているわけではありません。つい込められてしまった力の入った気分などは、思わず解きほぐされてしまうような仕掛け(発言)が、ごろごろしています。他人が自分と同じような心配をしているのだと感じることは、自分にとって救いになることもあるのでしょう。

 ここで、紹介するのは、現在、商用パソコン通信の一つであるニフテイサーブにあるエイズフォーラムと翻訳フォーラム・エントリー館の中で進行している翻訳プロジェクトのお話です。

 一九九四年八月二一日にエイズフォーラムのシスオペ(システムオペレーター:運営責任者)でもある伊勢和宏さんから提案があったのが、きっかけです。彼は、ここでこう呼びかけられました。「(前略)インターネットニュース転載と、それの翻訳をエイズフォーラムで行いたいと思います。」この発言に何人かのメンバーが賛同の意志を示し、八月二五日翻訳フォーラムで特別会議室がオープンしました。
 ここでは、伊勢さんが転載を開始したメーリングリストにあふれていた情報の中でも、特に、参加者の目を引いたAIDS TREATMENT NEWSを中心に翻訳作業を開始することが決定され、その他のニュースレターの発行者とともに翻訳の許諾についての交渉が行なわれ、それとともに共同作業による翻訳作業がスタートしました。
 その後、翻訳作業の場は翻訳フォーラム(その後翻訳フォーラムの改編に伴い翻訳フォーラム・エントリー館に移行)の「ボランティア▽エイズ関連文書翻訳作業室」に移り、このプロジェクト全体の進め方は、エイズフォーラムの「翻訳プロジェクト会議室」で行なわれています。
 かなり大勢の方が参加されるようになっています。一九九六年一月一八日に新しい会議室に移ってから、一九九六年六月一〇日までの全発言数は八〇二になりました。翻訳フォーラムに移ってから、翻訳した文章は他の人によりチェックが加えられることになりました(ここでは校閲と呼ばれています)。で、作業の手順は、次のようなものです。
 翻訳の対象になる文章がデータライブラリイが担当者により登録され、それがいくつかの部分に分けられ、参加希望者が募られます。参加したいと思った人は、どの部分を担当するのかを会議室で宣言し、翻訳した文章をその後アップします。
 このアップされた文章に対し、チェックが加えられ、参加者の議論を経て、完成文ができあがります。完成された文章は、再びくっつけられデータライブラリに登録されます。
- AIDS TREATMENT NEWSは、205号から翻訳が開始され現在244号までの作業が行なわれています。
 AIDS TREATMENT NEWSは、毎月2回発行されるニュースレターで、HIV感染症の新しい治療法についての紹介・解説、治療戦略についての議論、研究結果の入手の方法の紹介やその解釈についての解説、薬や情報へのアクセス方法の紹介、関係団体の案内などが掲載されています。
 バックナンバーは単行本としても発行(図1)されていますし、最近、World Wide Web address http://www.immunet.org/atn/で、バックナンバー入手することも可能になりました。また、索引の翻訳(図2)やこの翻訳された索引のCSV形式(多くのデータベースソフトに対応している保存形式)のテキストファイルの作成も行なわれています。この他、一九九四年の秋と冬のKAIROS House Newsletter や一九九四年のVAMC NewsletterやAIDS INFORMATION NEWSLETTERの一部なども翻訳されています。
 これまでに翻訳された文献は、エイズフォーラムの「翻訳プロジェクト会議室」や翻訳フォーラム・エントリー館のデータライブラリに登録されています。
 今後、エイズフォーラムの公式ホームページ(http://www.med.kyushu-u.ac.jp/FAIDS/)やエイズフォーラムのデータライブラリに整理して登録しておくことも検討中です。

 私が、このプロジェクトに参加したきっかけは、AIDS TREATMENT NEWSのJohn S. Jamesさんに圧倒的な興味を持ったからです。
 そして、ネットワークでの共同作業にも参加してみたいと考えていたことも大きな要因です。
 実際に参加してみて、取り上げられているテーマの多彩さや考え方の多様さに戸惑いを感じることも少なくありません。でも、これは自分なりにそれぞれ考えるしかない問題なのでしょう。なによりも、多くの人から教えられるというのは感動的な体験でした。  最初は、ほんの小さな運動であったこの活動も、大勢の人が参加をされ今日まで続けて行くことができました。
 あなたにも活動するチャンスがあります。実際に作業や運営に携わる人はたえず募集されています。
 興味を持った方は、電子会議室をのぞかれてみてはいかがでしょうか。
 ではでは。

[ABW]


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