ある日ぼくは「AIDS」と出会った
〜シミズくんのエイズ・サポートグループ設立記
木谷麦子著 ポプラ社刊 1,400円 223頁
刊行年:1998.10 ISBN:4-591-05800-X
財団法人エイズ予防財団推薦
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■目次
- エイズとの出会い
運命の日はいともさりげなく/ヤザワ先生の話/なっちゃんの学園祭- ぼくたちも何かやりたい
エイズ講習会プロジェクト/アメリカへいこう!- アメリカ五日間の旅
はじめてPWAに会う/サポートグループもいろいろなんだ/なぜPWAにはサポートがいるんだろう?/「人のた」より「自分のため」に/「ボランティア」って何だろう?- 「自分にあったグループがほしい」
自分たちのグループをつくりたい!/五つの理念/「LIFE」から始めよう!- LAPの出発(たびだち)
清水くん、代表になる/LAPでやりたかったこと/「バディ」として/それぞれの役割/出会い、そして別れ- スタッフトレーニング
「自分にとってエイズとは?」/「ピアカウンセリング」と「イメージガイド」/セクシュアリティについて/そのほかのトレーニング- パヤップさんのこと
平田さん/平田さんからの電話/「スリープ」とパヤップさんはいった/故郷に帰りたい- ここから出発しよう
事務所を持とう/LAPの日々はつづく■著者からのメッセージ
今回「シミズくん」を主人公とした、エイズ・サポートグループの本を書きました。この本の企画はじつは二転三転したのですが、結局できあがったものは、花も実もあるノンフィクションです。発行は児童書専門のポプラ社で、中高生向けになっています。
この企画は、ポプラ社編集者のMさんと私との会話から始まりました。私は、「サポートグループ」に焦点をあてたエイズの本を作りたいと言いました(腹にLAPのことがあったのは言うまでもありません)。私は専修学校の講師もしているので、学生たちにとってより身近なこと、一歩踏み出せば今日から自分たちも関われる視点から、エイズのことを扱ってみたかったのです。
Mさんは大きくうなずいてこう言いました。「私も、またエイズの本を作りたいと思っていました。テレビなどのマスコミは、何かあると大きく扱い、それが過ぎるとぱったり報道しなくなってしまいます。けれども、こういうテーマは、少しずつでも出し続けていくことが必要だと思います」
ポプラ社はすでに、基礎知識の本やPWAの自伝などを出しています。どちらも、まず必要なものです。が、読者からはある「距離」があることも一面の事実です。専門家が書いたものは、「専門家だから知っている」と思うし、当事者が書いたものは、障害者などでもそうですが、「えらいなあ」で終わってしまうこともある。その点、若い人がやっているサポートグループの話なら、実際にやるやらないはべつとして、もう少し「地続き」のものに感じるのではないだろうか。
それで、そういう本を書きました。あくまで事実に基づいていますが、「清水くん」という一人のキャラクターを通して、エイズと関わること、なにか一つのことをやることを、自分のすぐとなりのこととして読んでくれればいいなあと思います。
そういう趣旨なので、編集さんは「清水さんのあのムーミンのような印象を生かしてください」と言うし、営業面から「学校向け販売だと『運動ノリ』は嫌われる」と言われるし(LAPは運動ノリじゃないってば)、「サポートグループは特別な人がやるんだ」という印象を完全に消し去るようなキャラクター作りにしました。それで、本書の「清水くん」は、たぶんLAPのみなさんが知っている有能な清水氏とはちょっとちがうかもしれません(「アク抜き」というウワサも)。でも、本人もこれでいいってゆってるし。
ストーリー仕立てのノンフィクションですが、清水さんに協力してもらって注も充実しているので、エイズについての知識もしっかりサポートしています。一味違うエイズの本として、どうぞごひいきに。
[木谷麦子]
木谷さんが作られているホームページ「HEXAGON」
http://www.ne.jp/asahi/z/moon/