■『それじゃあグッドバイ−平田豊・最後のメッセージ』
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白夜書房刊 1200円 山下柚美・児玉秀治著(絶版)内容は、どこそこの男を食った、といったあけすけな性的冒険譚(自慢話)と、自分がかかわった犯罪行為の暴露がほとんど。最後に、エイズの講演会の模様も入っている。
語り手はエイズ患者という立場を利用して、何を語っても自分だけは許されるだろう、とたかをくくっていたらしい。そのためか、どんなにどぎつい話でも、さらっと読める、気がする。
ちなみに彼の人生遍歴は、本書の注にあるように、70年代、80年代の東京の歴史と見事な一致を見せている。そして最後は90年代。エイズ宣言とエイズで死ぬことについて語られ、歌われ、幕が閉じる。僕の感想。
第一に、平田豊はこの本の中で多くの事実と多くの嘘を語っている。
第二に、平田豊は「話」を積み重ねていくだけで、「物語」を創れない。
以上二点において、この本はおもしろい。と思う。(児玉秀治)