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第13回日本エイズ学会報告
医師向け特別教育セッション(12月2日)

症例から学ぶHIV感染症診療のコツ

第13回日本エイズ学会事務局 堀 成美 

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 ■「自分だったらどうする?」
 思考のプロセスを重視する臨床医向け参加型教育セッションが大盛況。

 「医師に教育?」と思われるかたもいるかもしれません。HIV感染症は新しい病気であり、医療者でも全員が熟知していないこと、治療に関する情報がめまぐるしく変わるため、この診療に関わる医療者は常に自ら新しい情報を学び、疑問を積極的に解消していく…という態度をもつことが重要といわれています。そうした努力をしなければ「医療過誤」や「治療の失敗」につながる可能性があります。

 最近は日本語でもガイドライン的なものができましたし、インターネットで様々な情報にアクセスできます。しかし実際の診療は医師と患者さんのコミュニケーションのなかで展開されますし、患者さんは他の合併症をもっていたり、マニュアルどおり、またはマニュアルだけを根拠に治療が行われることはありえません。医師がそれぞれの患者さんにとっての最適とは何か? を考える力や態度をもち続けることが重要になっています。

 今回はこうした課題の解決の方法として、アメリカの専門NPO(非営利民間団体)である International AIDS Society USA(IASーUSA)が開発したトレーニング手法を用いて症例検討という形でのセッションをもちました。これまでに行われてきたのは「経験の多い」「有名な」講師の話を「聞く」講演会スタイルのものです。この受け身的な情報受信は「教育効果」はあまりないといわれています。この教育セッションは、画面にしめされた症例に対して、「自分だったらどうするか?」ということを「自分で考え」、6〜8個の選択肢の中から「自分で選び」、手元のリモコン(Answer Machine)で答えるという「参加型学習」です。会場の画面には会場の参加者がどの選択肢を選んだかが瞬時にグラフで示されます。医師になるような優秀な方はおそらく試験慣れされているのでしょう、楽しんで答えている方が多かったです。「ちっ、まちがった」「いえーい、正答だあ」と反応も様
々でしたがその後、講師がそれぞれの選択肢のポイントを「比較」しながら解説するので「正しい答え」さがしではなく、どのようなことを考えれば最適な治療にたどりつくか…という思考のプロセスやチェックポイントを学習することができます。

 このプログラムを開発したIASーUSA、そしてこれまでにアメリカのエキスパートとの信頼関係の厚い青木眞先生のご協力のもとに企画することができました。症例検討の前には、日本の最前線の話を福武勝幸教授(東京医科大学臨床病理学)、コロラド大学のスクーリー教授、ベンソン教授のレクチャーもあり、もりだくさんのセミナーでした。

 たいへん評判がよかったため、今後は日本で同様の活動を行なってきた「抗HIV薬の効果的な服薬援助のための検討会」(服薬検討会)で、第2弾、第3弾を計画中です。

■今後の開催時期や場所等の問い合せ(2000年6月と11月を予定)
 http://www.hivcare.jp/
■アメリカでのプログラムの情報
 International AIDS Society-USA ホームページ
 http://www.iasusa.org/

[ 堀 成美 ]


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