2000年10月28日・29日、愛知県名古屋市の中京大学センタービルにて日本臨床心理士会主催の第8回日本HIVカウンセリング・ワークショップが開催され、臨床心理士の今後の活動方向について検討がなされた。
「HIV感染者及びエイズ患者への心理的援助の一環として派遣カウンセラー制度が導入されて今年で4年目をむかえ、この間、HIV治療を取り巻く現状は大きく変化し、それに伴ってカウンセリングの在り方も変化してきました。このワークショップでは、エイズ問題における臨床心理士の具体的な動きや、今後の活動方向について検討していく」という趣旨のもと、臨床心理士、心理職者、HIVカウンセリングに関心のある医師、看護婦、保健婦、ソーシャルワーカー等、医療保健福祉従事者、NGOなど150人近くの方が集まりました。
一日目は、まず、国立名古屋病院の山中克郎先生による最新のHIV治療に関しての講演が行われました。HIVのメカニズム、最新の治療薬など、山中先生のお人柄がうかがえる、とてもわかりやすい説明でした。
次に、「私の人生を変えたこの病気」というフリートークで、感染者の方のお話がありました。ご自分の体験や、名古屋でのHIVを取り巻く環境など、東京で活動している私には、名古屋という都市であってもまだまだ偏見や差別があり、HIVに対する認識の格差などを感じました。また、名古屋でのNGOの活動などにも触れ、サポート体勢の確立もされつつあるということでした。
一日目の最後は桃山学院大学の小西加保留先生による「HIV医療におけるソーシャルワーカーの役割と職種間連携について」の講演でした。HIVにおけるソーシャルワークや、ソーシャルワーカーと臨床心理士との連携についてなど、普段あまり表出しないソーシャルワーカーの役割が実は大変重要な所で活躍しているということがわかりました。二日目は4つのテーマに分けて分科会が行わました。
「抗HIV薬服薬援助における臨床心理士の役割を考える」では、コメンテーター桑原健さん、司会仲倉高広さんによる服薬指導の目的、抗HIV薬の特徴、国立大学病院における服薬援助などの発表がありました。
「滞日外国人感染者支援における臨床心理士の役割を考える」では、コメンテーター菊池恵美子さん、話題提供者榎本てる子さん、司会古谷野淳子さんによる、滞日外国人感染者の状況や心理職との関わり、心理の立場から医療現場に提言できる事など、アンケートをもとに発表されていました。
「HIVカウンセリング経験者のアドバンストコース」では、コメンテーター矢永由里子さん、司会山中京子さんによる、事例検討、参加者とのディスカッションを行いました。
「将来のHIVカウンセリングを担うために〜新人研修(院生等)〜」ではコメンテーター森田真子さん、司会松本智子さんによるHIVカウンセリングの役割や目的などの話があり、その後、全体報告会が行われました。「チーム医療の連携」というのが、全体的なテーマだったように思います。医者、看護婦、ソーシャルワーカー、心理職、薬剤師及び患者を含めた、よりよい生き方への支援が行われることが期待されます。
また、NGOの立場から、この「チーム医療」にどの様な形で関われるかということも課題であると感じました。
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