2001年7月23日、「感染の確率や検査方法等にこだわるケースへの対応」をテーマに都庁で東京都エイズ相談連絡会が開催された。相談員自身が「100%の確実性」に振り回されるのではなく、細かい数字や確率にこだわることがその人にとってどのような意味を持っているのかを考えた対応が望まれるのではないだろうか。2001年7月23日、都庁第一庁舎にて東京都エイズ相談連絡会が開催されました。「HIV感染不安者への対応についてPART2〜感染の確率や検査方法等にこだわるケースへの対応〜」と題されたこの講習会。参加者は東京都内でHIVやエイズの電話相談やサポート活動をされている方々が来ていました。講師の都立衛生研究所微生物部の関根大正氏がHIVというウイルスについて、抗体検査の仕組みといったことについて解説されました。
私が読み違えた部分もあったのですが、テーマから想像するに、感染不安者に対してどのような対応が行われるのが望ましいのかというものを期待していたのですが、相談員が答えに困ってしまう相談者からの質問について関根氏より詳しく解説してもらう、HIV講座のふりかえりという感じがしました。
関根氏の説明はそんな相談員の方々の疑問にとても詳しく丁寧に答えてくれている印象を持ち、私自身も再確認出来た部分が多々ありました。
質問内容を抜粋すると、
・確実な結果を得られる時期は?
・6ヶ月後検査の根拠は?
・偽陽性、偽陰性について
・PCR検査法ついて
・ウインドウピリオドについて
等々、様々なものがありました。
講習会の中で日頃、電話相談員をされている方が、感染不安の人たちの声を代弁するかのように「じゃあ二ヶ月じゃダメなんですか?」「三ヶ月待てば100%なんですか?」など、講師の方にここぞとばかりに「相談」を持ちかけている風景も見られました。
そのような光景が繰り広げられたことに驚かされたと同時に、電話相談員の置かれている厳しい状況もかいま見ることができました。電話相談員にもパターンがあり、情報の伝達、指導に徹することを目指している相談員と、相談者の発する言葉から「どうしてそのような不安に駆り立てられているのか」に焦点を当てようとする相談員がいるように思いました。
どちらの相談員が相談者ニーズに添えるのかはケースバイケースだと思いますが、相談者側で選択できる、または、相談員側の広範囲な対応に必要なプロトコルの開発が必要なのではないかと思います。
相談者の一つ一つの質問に丁寧に答えることも必要でしょうが、「100%の答え」や「100%の結果」はないという認識を持った上で対応することも必要なのではないでしょうか。相談員の対応によっては感染不安者の不安を増幅させることもありえると思うのです。
最後になりますが、エイズ予防財団で相談員をされている方が、そこまで細かい数字にこだわる人には科学的根拠となる数字を説明するよりも、細かい数字や確率にこだわることがその人にとってどのような意味を持っているのかを考えて対応した方がいいのではないかと発言されていたのが印象的でした。
[ふじもと]