※Frequently Asked Questions:よく尋ねられる質問のこと。FAQと略すこともある。
■臨床の現場から出たQ&A集
「危険なUn safeセックス後のPEP(暴露後感染予防)として抗HIV薬の内服を希望する人にどう対応するか」
「エファビレンツ(商品名:サスティーバ)の使い心地や副作用は?」
「耐性検査は実用にどのくらい近づいているのか」コンパクトにまとめられたこの小冊子を開くと、そこに載っている質問の多様さにまず驚く。読み進んでいくと、そうそう、これが聞きたかったという質問がみつかる…。
『教科書にはないHIV診療のコツ・FAQ』はQ&A形式で構成された30ページ前後のA5版の小冊子だ。発行者は国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター医療情報室長の青木眞氏。20の質問にコロラド大学感染症科のロバート・スクーリ教授などが回答を寄せ、青木氏の解説が加えられている。
全ての質問が臨床の現場から寄せられたものであり、実際的で有益な情報が詰まっている。医師を中心にQ&Aが進められているのでPHA(HIV感染者・患者)が読むには多少「難しめ」なのが残念だが、その辺りはSHIP(ステイ・ヘルシー・インファメーション・プロジェクト)ニュースレターなどと併せて読むと理解しやすくなる。
■タイムリーな情報を随時、更新しながら提供
抗HIV薬の組み合わせをどうしたらいいか、という点は多くのPHAにとって悩みの種だが、それは同時に医師にとっても悩みの種だ。B型肝炎の人は3TCを飲まないほうがいいのか、d4TとAZTを併用しない理由は何かなど、抗HIV薬に関するQ&Aも充実している。
また、HIV感染症の治療では「先月まで正しいと思われていた治療方法が今月は『避けた方が良い治療』に変わる」ことがある。そうした情報の更新についてもいわゆる教科書にはできない対応の早さをみせている。
インジナビルを1日2回投与にするか3回投与にするかについては98年7月に発行された第一弾では1日2回投与も悪くない、という書き方がされていた。しかしその後、2回投与が3回投与よりも明らかに劣るというデータが出たため、インターネットに掲載されているホームページの内容が書き換えられ、98年12月に発行された第二弾では3回投与に戻した方が賢明と書かれている。
■「ホームページも併せて見て欲しい」
青木氏は後書きの中で「インターネットにアクセスのある方は時にホームページを見て頂ければ幸いです」と述べている。冊子のQ&Aの多くもインターネットの電子メールによって質問され、回答が寄せられているといい、インターネットの普及がタイムリーな情報提供に一役買っている。
■問い合わせ先(2003.8変更)
HIV Care Management Initiative-Japan (HCMI-J)
ホームページ http://www.hivcare.jp/