overview
HIVゲノムには他のレトロウイルスにはないアクセサリー遺伝子と呼称される遺伝子群がある。その特異性から、アクセサリー遺伝子はHIVのウイルス学的特性の多くを担っていると考えられている。HIVのアクセサリー遺伝子にはvif,
vpr, vpx(HIV-2特異的), vpu(HIV-1特異的)及びnefの5種類がある。
今年の研究から、これらの遺伝子にコードされるアクセサリー蛋白質は(1)複製後期に働き、その作用が複製初期(ウイルスDNA合成)に必要とされるVif,
Nef, (2)複製初期(pre-integration complexの核移行)に必要とされるVpr, Vpx, (3)複製後期(粒子放出)に必要とされるVpuに分類され、ある特定の細胞でのウイルス複製に特異的に要求される。アクセサリー蛋白質にはさらに、細胞に多様な効果を及ぼす活性があることも明らかにされている。これは(1)細胞周期やアポト−シスの制御(Vpr)、(2)CD4のdown-regulation(Nef,
Vpu)、(3)MHC-Iのdown-regulation(Nef)であり、いずれも個体レベルのウイルス複製や病態を考える上で極めて重要である。
本ワークショップではHIV-1アクセサリー蛋白質に関する最新の研究成果に基づき、その機能をウイルス複製や病態との関連で総合的に検討、議論したい。 |